導入講座1
導入講座ではまずは簡単な読み物からはじまります。まずは適当に読んでみて下さい。
合格通知
平成15年3月13日
『パッパーン』とクラッカーの音が鳴り響く。そう、今日は森脇家の一人息子、拓哉が念願の大学に合格したお祝いの日なのだ。
「拓哉、合格おめでとう。」と父が言った。
「ありがと、いや~。試験ではそこそこ出来たと思ったけど、まさか合格してるとは思わなかったね。なんていっても天下の東明大学だし。周りはみんな賢こそうだったしね。」
満面の笑みを浮かべて拓哉は言った。
「まあ、運も実力のうちっていうからね」母が拓哉の好物であるトンカツを運んできた。
台所のテーブルの上は、トンカツの他にも、あふれんばかりの食べ物でいっぱいだった。父は機嫌よくビールを飲んでいる。
久しぶりに家族でのゆっくりした食事だった。
夕食も終わり団欒状態へ入った頃に
「ところで、東明大学だと、通学できないので一人暮らししないといけないのだけど、お金とか大丈夫?」と拓哉は母に聞いた。
「そのことだけどね。」と母が何かいいかけた時に父が母の言葉を制止して言い出した。
「東明大学に合格したら、できる限りのことはしてあげようと母さんと相談していたが、知ってのとおり家はそれほど裕福じゃないし。」
「そこでだ、これからいうことをしっかりきいて、がんばってほしい。」
拓哉はすこし不安になった。
父がタバコを手に取って話す。
「まず、大学へ行って一人暮らしになると仕送りは月100,000円を送る。」あと足りない分はアルバイトなどして自分で補ってほしい。」
100,000円か、父さん無理してるな。と思いながらも話を続けて聞く。
「もちろん大学の授業料などは、家から払うので気にしないでくれ。」
「それと、せっかく希望の大学に合格したのだから、4月まで暇だろう。自分で住む所を探してみないか?」
「もちろん、家具とか一式も自分でそろえて見ろ」
「拓哉も大学生になるのだから、ある程度のことは、一人で出来るようになりなさい。」
と父が言った。
一人住まいは初めてだけど、まあ、全て自分で決めるのもいいか、と拓哉は思い、
「うん、そうするね」と拓哉は両親の前で言った。
父が「母さん」と声をかけると、母が拓哉の前に預金通帳と印鑑を持ってきた。
通帳を開けると、なんと残高1,000,000円があった。
「そのお金で住む場所、家具、などを揃えなさい。」
「1,000,000円はお前のすきなように使いなさい。」
「残ったら、それはお前のものだ」
続けて
「しかし、この1,000,000円と毎月の仕送り100,000円しか、金銭的な面では援助できないと思ってくれ」と父が言った。
拓哉は、少し不安になったが、
「まあ、なんとかやってみます」と答えた。
「拓哉なら大丈夫よ」テーブルを拭きながら母が言った。
「そうかな~」今まではろくにアルバイトもしてなかったし、ちょっと不安だな~~。
と拓哉は答えた。
「母さんなんて父さんの少ない収入で家計を切盛りしてるのよ。」
「・・・」父が無言になった。
「拓哉にも切盛りするヒントぐらいあげようかな」母が言った。
「ぜひとも教えて下さい」笑いながら拓哉は答える。
「大学は4年間行くでしょ、その間、家計簿をつけなさい。」
「面倒くさいと感じるかもしれないけど、慣れればなんてことないから。」
「それにあんた毎日日記を付けてるでしょ。そのついでと思えばいいじゃない。」
母はうれしそうに言った。
日記を付ける習慣は、小学生の頃からあった、一度夏休みの宿題で、たまった日記を付けれずに泣いていた記憶があるので、それ以来、毎日何があったかを日記を付けることにした。
「じゃ~~。今日はゆっくり寝るね。」といって2階へ上がっていった。
2階へ上がって拓哉は机に向かっている。この机にはお世話になったな~~。今日から勉強しなくてもいいんだ。大学行くまでなにしようかな。
夜遅くまで勉強する癖がついていたので、寝るにはまだ時間が早すぎる。
そうだっ。一人暮らしのことを考えよう。
とりあえず1,000,000円で必要なものを揃えないと…。何が必要なんだろう。
いままで受験勉強したシャーペンを取って、書き出してみる。
「住む場所」「冷蔵庫」「洗濯機」「テレビ」「ビデオ」「電話」あとは…下宿先にもパソコンは欲しいな。プレイステーション2も欲しいし、
そうそう、暮らし始めたときのことも考えないと、
収入は毎月100,000円でしょ。
家賃は60,000円までに納まるかな~。光熱費は10,000円位かな、食費が1ヶ月30,000円位かな。ああ~。これで100,000円だ。遊ぶお金は自分で稼ぎなさいってことか、さすが母さんだな。
まあ、いいや、そろそろ眠くなってきたし、明日から暇だしゆっくり考えよう。
今日は寝よう。